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濱野 美津男

              (写真愛好家)

日本独特の美意識に要白と云うモノがあるのを御存知でしょうか?

侘び・寂びに通じる日本独特の美の表現方法ですが、日本では随分昔から自然に使われていて日本人のDNAには深く刻まれている

勿論 美的感覚を追及する写真にはとても重要な要素なのですが、結構知られていないのも事実です。

それでは具体的にはどのようなことを指しているのでしょうか?

例えば物の配置に無意識に使われていたりします。

外国の絵画と日本の伝統的な技法で描かれた絵を比べると良くわかるように、外国の絵画がキャンバス一杯に描かれているのに対し、日本の伝統的な絵画には極一部に小さく描かれているだけのものが多いのです。

其れでいて決してキャンパス一杯に描かれた作品に比べて見劣りしていません。

むしろ印象が深いモノさえあるのです。

この違いを生み出すモノこそが、要白と云われる必要でありながら何も描かれていない空間です。

何も描かないことによって安定したバランスや迫力や表現力を生み出しているのです。

そのことは日本の住宅環境にも根付いています。

近年はアメリカンナイズされた若者が多くなり、和室の部屋は随分少なくなりましたが、床の間や飾り箪笥は侘び寂びの原点なのです。

床の間には一服の軸を懸け、正面を少しずらして花を生けるのが一般的ですが、必然的に軸の左右や花の反対側には余計なものを飾らず空間を残すことで美を表現します。

これこそが要白と云われる美的表現の重大な要素なのです。

ガチャガチャと壁や床にあるだけの調度品を並べる外国の様式とは一番の違いですね。

写真の撮影にも大いに取り入れて自分の世界を表現したいものです。

​要白の考え方

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